篤郎と久美子の間には、あきらかに距離が出来ていた。
篤郎は相変わらず母を追い続けるが、
以前のように、久美子が頭を舐めたりしてやる事は全くなくなり、
威嚇、無視が増え、明るい篤郎も流石に畏縮し、おとなしくなってしまうことが増えた。
野良猫になる全ての者が体験する、ショック、あるいは淋しさなのだろうか?
しかし、親子で1年以上一緒にいる野良猫も居るのである。
久美子の心は、どんどん涼しくなっていく秋風そのもののようではないか。
反面、私が相手をすると、飛び上がったり、潜り込んだり、エスカレートする、
騒ぎ捲りの篤郎を見ていると、淋しさの裏返しのようにも思えてしまう。