久美子の四季


2001.冬

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彼女の息子を連れ帰り、あたふたとしてるうち直ぐに冬が来た。
前の年はマブだった麗菜といつもつるんでいたのだが、
麗菜は夏に姿を見せたっきり未だに音沙汰がわからない。

久美子はいつも独りでいた。

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元々ここには企業の家族寮があり、少数の猫が出入りしてたりもしたが、
この辺りも整理が進んでいる。
ここの寮が取り壊されたのは丁度、まなか達が出歩きはじめた頃だった。

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未だコンクリートの塀が寮の面影を残している。
この辺は自転車置き場ではなかっただろうか。。
こういう所へ入りたがるのは、猫ではなく私のほうである。

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正月・・「特別な日など無い」という事を彼等に教わる一方、
いつもの場所にいつもの猫が居ることを、これ程嬉しく感じる時もないかもしれない。
それが正月である。

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という事で、重い腰を上げる新年の久美子であった。

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年が明けて一段落ですれば恒例、”オス達のシーズン”である。
この冬も、一体何処の山から来たん?という様な流れ者が数匹現れる。

彼等の共通点は・・薄ら汚れている・・デカい・・顔がまたデカい・・でも尻尾が短い。。
この4つが揃うと、とにかく強そうなんである。

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強そうなんだけど、争いに負けたから旅烏なのではないだろうか?
彼等にどことなく漂う倦哀感は、野良とかなんとかではなく、
追われた者としての淋しさ、怯え、疲れ、本気で争う事の痛み
・・何かそういう類いのものに思ったりもするのである。

勿論、好きで出歩いてる奴もいるだろうけど、
それだけでは、彼等に漂う特性を説明しきれないのである。。

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一番執拗だったのはこいつである。
というか、結局このオスはその後もこの辺りに住み着いたようで、
時折見かけている。

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女を求めてゲリラチックに動き回る性戦士達。。
ぼくは初めて見たケースなのだけど、こいつら・・つるんで行動していてた。

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こういう時のメスって奪い合うもんだとばかり思ってたんだけど・・
占有するんでなくて、戦友だ。・・・ねこの社会も変わったねー。。やれやれ(笑)

人間との接点という意味では最もかけ離れた所にいるように見える彼等だが、
ならばどうしてその強靱な体つきを維持できるのだろう?

実は帰る所でもあるのだろうか?とにかく彼等は謎に満ちている。。

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